サイエンスコミュニケーションの入口。ロッテリア@Miraikan

ロッテリア 日本科学未来館店

Miraikan

ロッテリア@Miraikanは、「サイエンスコミュニケーションの入口」をコンセプトに、訪れる人たちにもっともっと科学に対する興味を持ってもらうために、さまざまな「しかけ」を用意しています。

まず、日本科学未来館の入り口から回り込むと、目に入るのが、ゆるやかなカーブを描く大きなガラス窓を持つ店舗と、その手前に設けられたテラス席です。デッキ風テラスの席は、ところどころ掘り込みになっっていて、バリアフリーになっているだけでなく、子どもが穴倉に入ったときのワクワク感を再現しています。

そしていよいよ、ロッテリア@Miraikanの特長がふんだんに盛り込まれた店内へ。壁面は、なんとも不思議な幾何学的な模様で埋め尽くされたていますが、その壁に、丸くくりぬかれた数カ所の棚があり、ライブラリーになっていて、サイエンス系の本がずらりと並んでいます。お客様は自由に読めますから、ぜひ楽しんでいってください。

さらに、壁には模様にヒミツがあったり、ときどき小さな光が点滅するしかけがあったり、埋め込まれたモニターにはいろんな映像が映し出されたり。そのほか、テーブルの模様にもヒミツがあります。

これらのさまざまな「しかけ」やライブラリーの本選びも含めて、ロッテリア@Miraikanのデザインを手がけたのが、空間デザイナーの李明喜さん。そして、「しかけ」のトータルなサイエンス監修をしていただいたのが、東京大学の池上高志さんです。みなさんもぜひ、さまざまな謎を解いて、いろんな科学に触れに来てください。
もちろんおいしいハンバーガーもいろいろとご用意して、お待ちしています。

では、ここからはロッテリア@Miraikanのヒミツを、もっと詳しくご紹介しましょう。

[ロッテリア@日本科学未来館]のヒミツ、大公開 トータルサイエンス監修:池上高志(複雑系研究者、東京大学大学院総合文化研究科准教授)

ヒミツ1

ホタルの光[ライブラリーの星のライト]
東南アジアやアフリカなどの草木が生い茂る場所では、たくさんのホタルがピッタリ同じタイミングで光る、とても美しい情景が見られます。これを同期現象(シンクロ)といいます。

では、ホタルはなぜ、いっせいに光るのでしょう?その理由はまだはっきりしていませんが、自分たちの子孫を増やすこと(繁殖活動)に関係していると言われています。今回、《ロッテリア@日本科学未来館》のライブラリーに、ホタルがいっせいに光る現象を再現する照明システムをつくりました。自然界の不思議さを体験してみてください。あなたも一緒に光り出すかもしれません?

● 蔵本由紀「非線形科学」(集英社新書 2007)
● スティーヴン・ストロガッツ「SYNC」(早川書房 2005)
ソース元:http://www.sonycsl.co.jp/person/rekimoto/java/hotal/
暦本純一(東京大学大学院情報学環教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所インタラクションラボラトリー室長)

ヒミツ2

ライフゲーム[ライブラリーモニターの映像/中央テーブルのパターン]
ライフゲームは、コンピュータで表示されるもっともカンタンな人工生命です。それはたくさんのマス目の上に石を並べるルールであらわされます。このルールは数学者のコンウェイに、40年ほど前に見つけられました。

ルール

このルールをコンピュータで実際に動かしてみると、 いろんなパターンが見つかります。例えば「グライダー」というパターンでは、グライダーどうしがぶつかったときに、新しいグライダーを作りつづける「グライダーガン」が生まれることが発見されました。じっさいの生命とは違った自己複製(自分で自分のコピーをつくる)のパターンです。ライフゲームには不思議で面白いパターンがどんどん見つかっています。それはまるで昆虫採集や化石の発掘のようなものです。まだ見つかってないすごいパターンを探してみてください。

● マーティンガードナー、
Scientific American誌の1970年10月号及び1971年2月号
画像ソース元:http://golly.sourceforge.net/

ヒミツ3

油のしずく[ライブラリーモニターの映像]
生命の特徴のひとつは自分で動くことです。植物だって高速で撮影して見ると動いています。どうやったら自分で動くシステムが作れるでしょう?

2006年に東大の豊田太郎さんやイタリアのマーティン・ハンクズィックさんらと協力して、ある油のしずくをオレイン酸(pHが高い)のまじった水溶液にいれる実験をしました。するとその油は、自分で動き出しました。油は、水溶液の中でオレイン酸の膜でおおわれて丸くなります。そしてオレイン酸の膜がどんどん作られるところとそうでないところができ、それが表面張力の差を生み、油を動かすエネルギーになります。しかもこの油のしずくは内部に対流(下から上に向かって直線的に流れができ、表面の内側に沿って上から下に流れが戻る)を生み、膜を作る反応を維持させるのです。その結果、油は自分で動き出し、しばらくの間、動き続けたのです!
これははたして生命でしょうか?

● 池上高志「動きが生命をつくる」(青土社 2007)
● Hanczyc, M.,et al. "Chemistry at the oil-water interface: Self-propelled oil droplets"
J. Am.Chem.Soc.;(2007);129(30) pp9386-9391
画像:Martin Hanczyc氏 (ProtoLife s.r.l ) 提供

ヒミツ4

うずのパターン[ライブラリーモニターの映像]
水がなぜ乱れるのか。これはまだきちんと分かっていない大問題で、今もいろいろ調べられています。この映像に映っているのは、水が乱れた状態をつくる装置(テイラークェット装置)で、半径のちがう筒を同軸に重ねたものです。

この2つの筒の間に液体を入れて、内側の筒を回転させます。すると回転数に応じて(半径比や流体の粘性などで決まるレイノルド数に応じて)、うず(テイラー渦)が発生します。このうずは円周に沿った方向にらせんを描きながら流れ、回転数や装置の大きさによって、うずの筋が何本も、ちょうどお菓子のバームクーヘンのように生まれます。内側の筒の回転数を変えると、このうずのパターンが複雑に変わってゆく様子を見ることができます。じつは同じ回転数でも同じパターンができるわけではなく、40種類くらいのパターンがひとつの装置でつくれることも分かっています。乱流を考える際に大事な考えのひとつに、chaos(カオス)があります。たとえば周期が倍々と長くなってカオスになったり、3つのお互いに素な周期が生まれるとカオスになるなど、規則的なパターンが壊れてカオスに至る道が調べられています。

● P.ベルジェほか、カオスの中の秩序(産業図書 1992)
画像:池上高志

ヒミツ5

貝がらもよう[ライブラリーの壁もよう]
貝がらには、見ていてあきない不思議なもようを作っているものがあります。このもようには、熱帯魚のシマシマのもよう作りとも共通の仕組み(チューリング・パターン)があると思われます。

イギリスの天才科学者アラン・チューリングは、1952年にとてもカンタンな方程式でこれらのもようが作れることを示しました。その後いろんなルールが調べられ、大体4つに分類されています。この分類はウォルフラムによって1984年に提案されました。何もパターンのないのがクラス1、規則的な繰り返しパターンがあるクラス2、全面に大小の三角形が不規則に広がったクラス3、そしてどれにも入らないパターンをクラス4としました。特にこのクラス4は、微妙にゆらいだ規則的なパターンで、急に変なもようがわき出したりする、見あきないものです。みなさんも貝がらをクラス分けしてみてください。見たことのないクラス4があるかもしれません。

● Alan M. Turing. 1952. The Chemical Basis of Morphogenesis.
Phil.Trans. Royal Society, vol. B237, pp.37-72.
● Stephan Wolfram, A New Kind of Science, Wolfram Media Inc. 2002.
● Hans Meinhardt, The Algorithmic Beauty of Sea Shells, Springer. 1995.

他にもロッテリア@Mirakanにはヒミツがいっぱい!お店に行って発見してね!!

池上 高志 (いけがみ たかし) 複雑系・システム論/東京大学大学院准教授

1961年生。 1989年東京大学大学院理学系研究科物理学修了。 理学博士。 「コンピュータシミュレーションをもとにした生命システムの理解」=「複雑系」を研究テーマとし、ダイナミクスからみた生命理論の構築を目指す。国際会議の開催、国際ジャーナルの編集など人工生命分野を国際的にリードする第一人者。著書に『動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ』、『ゲーム―駆け引きの世界 (東京大学公開講座)』(共著)、『複雑系の進化的シナリオ―生命の発展様式』(共著) など。
東京大学大学院池上研究室ホームページ:http://sacral.c.u-tokyo.ac.jp/

李明喜 空間デザイナー/ディレクター

「経験の可能性の拡張」としての空間デザインに取り組むデザインチーム matt のキャプテン。インテリア、建築、情報空間等のトータルディレクションからデザインまで様々なコミュニケーション空間を創造している。デザインユニット airconditioned のメンバーとしても活動。また渋谷慶一郎主宰のレーベルATAKではアートディレクションを担当。
matt / myeong-hee lee ホームページ:http://www.mattoct.jp/

イベント開催中


池上高志さんが日本科学未来館で対談イベントに出演しました!

「エイリアン展」関連イベント
『長沼毅トーク・ライブ――脱・「知的」生命探査のススメ!』
第2回「人工生命――新しい生命を作る挑戦」
池上高志X長沼毅

詳細はこちらをご覧ください
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/event/2008/0506_plan_01.html

 

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